平成28年10月15日、雅やかに行われた第7回観月祭。
かねて神道文化学部4年の二宮さんが「第7回観月祭絵図」を制作していましたが、いよいよ完成の運びとなりました。
制作者メッセージと共にお届けします。
一生の宝になる体験(神道文化学部4年 二宮さん)
それはご指導の先生方や職員の方々の情熱がなければ実現しないクオリティでもありましょうし、ご覧になるご家族や縁者の方々の誇らしそうで熱心な眼差しも、会場の一体感を形作っていたと思います。
今年度は手描きのイラストによる記録担当を拝命し、約一週間前のリハーサルと本番当日のセッティングから終演までを取材させていただき、後日、演目に沿ってA4サイズ6枚組のイラストをまとめました。
画材はボールペンと12色の色鉛筆です。裏方の現場も含め自分の五感で受け止めた空気を基本に、撮った写真を見て細部をできるだけ間違いなく描写することを心がけ、また写真では撮れないアングル設定など工夫した絵作りをしたつもりですが、拙い部分が多くあろうかと思います。どうかご容赦ください。
ただ、私が神職課程の授業の中で雅楽や衣紋について実習したことが、こういった絵を描くことに多いに役立っていると言いますか、自分で言うのもおこがましいですが、この一連のイラストには私のような立場の人間だけが享受できる「特権」が反映しています。
そういった意味で、今回の企画に自分ごとき至らぬ者が導かれた不思議な力、観月祭に関係するすべての方々との見えないご縁のようなものが有り難く、感謝と畏怖の念を感じております。
観月祭の舞台で立派に舞い、あるいは管絃に力を注いだ若い人たちのほとんどは、卒業後に雅楽や舞楽の世界でプロを目指すわけではなく、神社に奉職するなかで奏楽や神楽に経験を生かす道も、恐らくはメインストリームではない、ということが、一般社会の目からはとてももったいないことのように思えると推察しますが、これだけ本格的なステージの実現に、たとえ末端のスタッフとしてでも参加したという体験は、一生の宝になるに違いありません。
そして学内において観月祭を通じた技芸及び催行ノウハウの継承と質の向上努力が今後も続き、いずれは観月祭を経験したOB・OGを巻き込み、学外に対して大々的にアピールする機会を得ることを願ってやみません。
武田秀章学部長より
私が二宮さんの卓越した画力を識ったのは、神道文化学部「『古事記』アート」開催の折でした。
二宮さんのユニークな作品を見て、私はこう思いました。
「この人に、ぜひ本学恒例の観月祭や成人加冠式を描いてもらおう…」
当方のたっての願いを承け、二宮さんは本年度の観月祭を徹底取材、観月祭絵図の制作に着手しました。
いま、その成果を目の当たりにして、実に感無量の思いです。
鳥瞰的なアングルの醍醐味、精緻を極めた細部の描写、ユーモアと滋味の漂う画風…
おかげさまで先般のファトアルバムに続いて、本学ならではの愉しい祭礼絵巻が誕生しました。