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神道文化学部卒業生インタビュー
(第1回)

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武田秀章

2019年8月9日更新

神道文化学部では、学部を卒業生した方々にインタビューを行い、その様子をHPでも公開してまいります。今回は第1回として、佐賀県で女性宮司として活躍されている佐藤 美波さんにインタビューを行いました。(聞き手・写真は武田秀章教授)

 

―県内最年少の女性宮司として活躍中です。就任当初の気持ちなどをお聞かせ下さい

佐藤さん  卒業の年に、神社を支えてきた祖母が亡くなりました。祖母の思いを継ぎ自分が御奉仕しなければという思いで帰郷しました。

当社が鎮座する杵島郡大町町は、かつて炭鉱で栄えた町でしたが、今は過疎化と高齢化で、商店街もシャッターを下ろしたままのお店が目立っています。

けれども、そうした時代だからこそ、神さまの御神徳が求められているのではないでしょうか。

宮司として自分にできることから始めたい、神社を通じてこの町の活気を取り戻したい…。そんな気持ちでいっぱいでした。

 
―宮司としてのこれまでの取組みをお聞かせ下さい。

佐藤さん  大学卒業と同時に、築百年を超えていた社務所の改築を目指しました。総代会長や建設委員長とともに各地区を回って、社務所改築の奉賛をお願いしました。役員や氏子の方々の支援と協賛によって、新しい社務所が竣功したのです。竣功祭の直会で、総代さん方と一緒に涙したことは、今でも忘れられません。

その社務所では、神社についての勉強会やヨガ教室三世代交流のイベントなど、数々の行事を開催しています。おかげさまで社務所が地域や参拝者の方々の交流と研鑽の場となりました。こんなに嬉しいことはありません。


―新たに挑戦した試みが、SNS等による情報発信から反響を呼びました。新聞等でも取り上げられましたね。

佐藤さん  七夕祭りに併せて「ツナグー福母八幡宮七夕祭り竹灯篭の夕べ」という行事を企画しました。手作りの灯籠に皆さんの願いごとを書き入れていただき、本殿に続く九十七段の階段に飾り付けたのです。

未来を担ふ子供たちをはじめ、町民が集まってつながりを深め、祈りの明りを灯して町の未来を照らし結ぶ…。そんな思いをこめたプロジクトでした。

彦星と織姫の伝へのままに、多くの人々が御縁を結べますように、明るい未来を照らすことができますように…。御神前で真心こめて祈念させていただきました。

そうした行事の紹介を含め、SNSのこまめな更新を心掛けています。地元はもちろん、全国に向けて神社のいまを発信しています。

近年は遠方からの参拝も増えました。そんな方々にお頒けする朱印やお守りも、宮司が独自にデザインしています

― 女子神職としての奉仕や神社の今後についてどう感じていますか。

佐藤さん  女性として注目していただける反面、ひとり神主ゆえのセキュリティ等の不安もあります。女性ならではの学びも多い日々ですが、何でも前向きに捉へて自身の原動力に変えていきたいですね。

いつも地元の方々の見守りを頂戴していることはとてもありがたく、そうしたなかで少子高齢化や世代交代の問題には常に危機感を持っていますが、いたずらに不安がったり悲観したりすることは避けたいと思っています。

私は神職になってまだ六年です。しかしこれまでを顧みれば、福母八幡宮にも私自身にも、過去には想像さえできなかった未来がありました。

当社の主祭神は、神功皇后・應仁天皇・仲哀天皇です。この土地はかつて「母子の里」と呼ばれ、社号も福の母鎮まるお宮です。母と子の守り神として、母親のやうな包容力と優しさで人々を元気付けていつも変はらないことが、宮司としての切なる願ひです

―学部の後輩たちにメッセージをお願いします。

佐藤さん  大学で最も良かったことは、人生の恩師に出会へたことと、生涯の仲間ができたことです。普段はひとり神主ですが、同じように御奉仕に励む仲間が各地にいて、心強い支えになっています。

後輩の皆さんも出会いを大切にして、生涯に亙て続く友情の絆を育んで下さい。大学時代は本気で学びに専念できる人生の宝物のような四年間です。どうか悔いの残らないよう頑張って下さい。

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