神道文化学部の授業紹介 古典講読 IIIA

2015年7月11日更新

今回は、松本久史准教授の「古典講読 IIIA」の講義です。

「古典講読 IIIA」は、祝詞(のりと)の講義です。
「延喜式祝詞」の講読を通じて、祝詞に関する基本的な事柄や古代の国家祭祀・信仰を理解することを目的としています。
主に3年生を対象としており、神職資格を取得する上で必修の科目となります。

本日は6月29日です。今回の講義内容は、翌日の6月30日に斎行される大祓(おほはらへ)について取り上げます。
大祓は6月と12月の晦日に斎行されます。
とくに6月の大祓は「夏越しの祓」と呼ばれます。

しかし、今の6月は、夏を「越す」どころか、これから夏を迎える時期に当たります。
これは明治時代になされた改暦によるもので、改暦は神社の祭りが有する季節との結びつきを大きく変えました。
そのため、神社によっては旧暦で行っているところもあります。

続いて、大祓の歴史についての説明です。
「はらへ」は、「祓」のほかに「解除」・「祓除」などとも書きます。
「はらへ」の伝承的な起源は、『日本書紀』神代巻の「素戔嗚尊(すさのをのみこと)に千座置戸(ちくらおきど)の解除(はらへ)を科(おほ)せて」に求められます。
また、「大祓」の語の初見は、『古事記』にある仲哀天皇の崩御をうけての「国の大祓」になります。

律令制以前の「はらへ」の事例は、ほかに『日本書紀』の履中天皇紀や雄略天皇紀などにも見られますが、「はらへ」には共通して、罪過を贖うモノ(物品)を差し出すことがともないます。
これは、奈良時代に律令が定められる以前において、何らかの罪が発生した場合に、「はらへ」がその罪を贖う行為としてなされていた面があったことを示しています。
大化の改新の直後の大化二年には、民間で行われている「はらへ」を「愚俗」として停止せよという命が下されますが、国家的な「大祓」は、天武天皇の頃から構想され、律令の制定とともに整備されたと考えられます。

神職を目指す人は、大祓の祝詞である「大祓詞」を覚えて、暗唱できなくてはいけませんが、それと同時に、大祓の起源や歴史、そして「大祓詞」の言葉の一つ一つを理解しておかなければいけないのです。このことは、ほかの祭祀の祝詞についても同じです。

次回からは、「大祓詞」に出てくる言葉や、それに伴う古代信仰についても詳しく見ていくとのことです。

松本准教授よりメッセージ

「基本をまず学び、しっかりと自分のものにしたうえで、各々の関心に従った深い学びへと進んでください」

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