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渋谷対談!Vol16 トップが語る Vision & Mission『國學院大學×GAP JAPAN』

違いをシェアすること なぜそれが、社会や組織を成長させるのか

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2017年10月25日更新

kok9169

 渋谷区を拠点とする國學院大學の赤井益久学長とギャップジャパンのスティーブン・セア社長が対談。両者は「個性の尊重が、より良い社会や組織をつくる」という考えで一致する。2人の対談を通してその意味を探っていく。

 

プロフィール

赤井益久(あかいますひさ)

スティーブン・セア

國學院大學 学長

ギャップジャパン株式会社

代表取締役社長

 

1950年生まれ。

國學院大學大学院文学研究科博士課程を経て、1996年より同文学部教授。2011年に学長に就任

米百貨店でキャリアをスタートし、Gap Inc.へ入社。その後米アパレル小売、UNIQLO USAなどを経て、Gap Inc.に復帰。2016年11月より現職。

 

個性を理解するための「寛容性と謙虚さ」

赤井 國學院大學は、日本の文化や経済、歴史など、日本視点で世界を理解していこうというコンセプトがあります。日本は今、グローバリゼーションが求められており、多様性や寛容性を育てなければなりません。しかし現状は、男女格差や機会均等の克服など、まだ課題が多いと感じています。御社は、その部分に力を注いでいますが、その理由は。

セア おっしゃる通り、私たちは個性や多様性を尊重しています。なぜなら、さまざまな個性を持つ社員が、それぞれの“違った視点”を持ち寄ると、新たな解決策が生まれるからです。多様な個性の持ち主が協力体制を組むことは、組織にとってもメリットであり、価値を生みます。

赤井 日本でも伝統的に「寛容性と謙虚さ」が尊重されてきました。これは消極的な言葉に聞こえるのですが、むしろ逆です。多様性を寛容し、それぞれの立場を理解して謙虚に相手の意見を聞くのは、積極的な姿勢。ダイバーシティ&インクルージョンに通じます。

セア社長は「働き方やその服装にも自分らしさを」と語る

セア社長は「働き方やその服装にも自分らしさを」と語る

一人一人が輝けば、自信が生まれ成長する

 

セア 「積極的」という言葉に同意します。私たちは、一人一人の違いをシェアする義務があると考えています。

赤井 すべての共同体は一人一人の集合体であり、個人が輝かないと社会も輝きません。本学のミッションに「個性と共生の調和」がありますが、個性を輝かせながら共生できる社会に貢献することが理想で、その調和を実現できる人材育成を大学は目指しています。

セア ファッションや働き方も同じです。私たちはデニムフライデー(金曜日にデニムを取り入れたカジュアルな服装で勤務することを提唱するプロジェクト)を始めましたが、仕事の服装も多様な個性があって良いはず。自分らしくいることは自信になるので、その人らしい服を着ることで自信を得て欲しいのです。

赤井 「自信を着る」ということですよね。さらに、違いをシェアするには多角的な視点が不可欠で、自分から物事に関わる姿勢が必要です。本学も「アクティブラーニング」という能動的な授業を積極的に行っていますが、他者との意識や見解の違いを認識できる経験を通じて、寛容性を養っています。

積極的な個性の尊重は、日本の伝統精神だと赤井学長は考える。

積極的な個性の尊重は、日本の伝統精神だと赤井学長は考える。

個性が輝く社会を目指し何をしていくべきか

 

セア 個性を尊重した結果、組織がバラバラになってもいけません。キーワードは権限委譲で、意思決定をする上で責任を伴うと一人一人に認識してもらうことだと考えています。

赤井 組織においては、大きなベクトルを共有することも大切です。その上で個々の違いを尊重し、多様なシステムを用意する。教育でも、多様な学生に対し、いろいろなシステムを用意するのが大学の務めになってきます。

2人が思う、個性が輝く社会や組織のために必要なものとは

2人が思う、個性が輝く社会や組織のために必要なものとは

セア ファッションも社員に対しても、私たちが押し付けるのではなく、個性を生かした提案をする。個性の尊重をサポートする存在になることが、私たちの望みです。

赤井 人の成長のためには、大学以外から学んでもらうことも忘れてはいけません。社会や家庭、人と接する中で大きく成長します。大学がすべての教育を果たすのではなく、他からも自分らしさに気づくような機会を提供していく。それも我々の役割であり、学生の成長を通して社会や組織を一層成熟させることにつながると考えています。

 

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