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子育てのコツは子どもの思いを理解することから

子どもにとって、世界は謎に満ちたもの

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  • 教育
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人間開発学部准教授 結城孝治

2017年10月2日更新

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 「子育て」は、大人が子どもを育てる営みとなるわけですが、子どもの思いに気づかないで、つい怒って言うことをきかせてしまいがちです。せっかく作った食事を手でぐちゃぐちゃにしてしまったり、口紅を顔中に塗りたくったり、まだ難しいのに自分で牛乳を入れようとしてこぼしてしまったり。子どもと一緒に生活をしていると、「ああ、まったく、もう!」と、叱りつけたくなることは満載です。「さっき注意したばかりなのに!」「昨日もあれほど叱られたでしょ」「考えればわかることなのに」と大人は思ってしまいます。

 しかし、子どもは大人と違う思いを持っています。私たち大人は表象(イメージ)という便利な道具を使いながら生活をしています。実際にやってみなくても、過去の経験(表象)から出来事を予測することができます。しかし、子どもはまだ表象をうまく使いこなすことができません。まだ表象のもとになるものを作っている段階です。例えば、食べ物であれば、口の中で噛むと何か味がする、という程度で感じ取っているようです。子どもにしてみると、「口の中に入っているこれはいったい何だ?」ということになるでしょう。舌や食感だけでなく、目で見て、手で触って、匂いを嗅いで「なるほど」と五感で感じ取っている段階です。

 子どもにとって、世界は謎に満ちたものです。「いったいこれは何だ」「触ったらどんな感じだろ」「舐めてみたらどんな感じかな」「叩いたらどんな音がするのかな」「こうやってみたらどうなるかな」、そんなことをいつも考えているようです。少しずつそういった体験を蓄積しながら、「ああそうか」が増えていき、「こうすると、こうなったな」と過去の経験から起きそうな出来事を想像する力が身についていきます。そして、それらが、大人が考える時に普段使っている表象というものに育っていきます。

 物との関わりを通し、その体験が危なくないようそっと援助し、そしてその経験に意味を与えてあげるのが大人の役割ということになるでしょう。子どもがしていることの多くは、大人の目からみたら、例の「まったくもう!」という出来事です。でも、子どものこういった「まったくもう!」は、これから大人になって、自分で物事を考え、判断する力のもとになるものです。子どもを一人の人間として尊重し、その思いをまずは理解してあげることが大人、特に家族の役目ではないでしょうか。

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