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「親の心子知らず」の就活
〜ニューウエーブ時代の就職事情〜

おやごころ このおもい

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國學院大學名誉教授・法人特別参事 新富 康央

2020年9月12日更新

近くて遠い? 遠くて近い? そんな親の気持ちや大学生の子どもの気持ちを考えます。


 実りの秋。子どもの「実り」と言えば、親にとっては就職でしょう。しかし、「親の心子知らず」。親子で就職観の行き違いも見られます。

 特にコロナ禍の今年は、リモート面接など、勝手の違う就活となっています。感染拡大の先行き不安で、採用抑制の動きも広がっています。

 過去に國學院大學は、最も就職率が伸びた大学の一つに挙げられました(『沈む大学伸びる大学』朝日新書)。苦慮した人間開発学部1期生の就職ランキング(平成24年度)は、国公私立大文系学部中、名古屋大学経済学部と並んで全国10位でした(「週刊東洋経済<特集・本当に強い大学>」2013.11.2)。「人づくりの國學院」の面目躍如というところでした。

 企業回りをした際も、「まず1杯食べて(1人採用して)ください。必ず来年もお代わりしたくなります」と、自信をもって言えたものです。他方、学生には、「『國學院』という看板を買う時代ではない。大学で売っている野菜や魚(専門)をきちんと買うように」と訴えました。

 たしかに、日本も看板すなわち「学歴」で飯が食える時代は終わりました。「資格社会」米国では、就職用履歴書に大学名の記入欄は無く、獲得した資格のみ記載なのです。どこを出たか(出身大)ではなく、何ができるか(能力)が問われるのです。

 しかし、学歴社会を生きてきた親世代は、どうしても大企業への就職にこだわる傾向があります。私自身も『巨人の星』世代です。これは、星飛雄馬が巨人軍という星座(権威)のど真ん中で輝こうとするスポ根アニメです。

 今の若者はこれとは異なる、古い世代の権威を否定する「ニューウエーブ」という指向性を持ちます。大人社会に巣くう権威を否定し、我が道を行くという人生スタイルです。学術的には「プロテウス的人間」(R・リフトン)と言います。特定の権威に我が身を同一視することを放棄し、独自の我が道を確立しようとする生き方です。プロテウスは、ギリシャ神話に登場する変幻自在な姿と予言力をもった海神です。

 「大企業に入れば安心」という時代でなくなった今日、若者たちは自分の価値基準を持ち挑戦しようとします。これは、学歴主義社会で育った親世代の価値観から見れば、受け入れ難い傾向です。当然、親子の衝突も起きますが、ニューウエーブに向けた若者のこうした模索も理解してほしいと願います。学報連載コラム「おやごころ このおもい(第3回)」

新富 康央(しんとみ やすひさ)

國學院大學名誉教授 
法人参与・法人特別参事
人間開発学部初代学部長

専門:教育社会学・人間発達学

 

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