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多様性あふれる渋谷から「伝わる」が進化する!

トップが語る Vision & Mission 渋谷のラジオ×國學院大學

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國學院大學・学長(当時) 赤井益久

2016年3月28日更新

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(左)箭内道彦(やない・みちひこ)渋谷のラジオ理事長 クリエイティブディレクター
(右)赤井益久(あかい・ますひさ)國學院大學 学長

渋谷に拠点を置く國學院大學の赤井益久学長とこの春、「渋谷のラジオ」を開局する箭内道彦氏。ともに渋谷で「伝わる」ことを追求する2人が、そのために何が求められるかを語り合った。
制作・PRESIDENT

豊かな多様性をもつ渋谷の街を活性化

赤井 國學院大學のキャンパスがある渋谷は、文教地区と住宅地区と繁華街が隣り合う、東京都内でもユニークな街です。学ぶにも住むにも働くにも、そして遊ぶにも魅力があふれています。

箭内 渋谷は“世界最先端の田舎”だと思うんです。斬新なカルチャーや先進的な施策が注目される一方、僕も東北出身ですが、多様な個性の人々が地方から集結している。これも魅力です。

赤井 その渋谷で四月にコミュニティFM局「渋谷のラジオ」をスタートなさいますね。

箭内 はい。僕と同じく渋谷を地元として活動する皆さんと、街をますます活性化し、人と人をつなげたいと考えたんです。地域の防災への貢献も含め、ラジオには大きな可能性があると思います。

赤井 よく分かります。「声」だけが送られ、あとは「余白」。そこに可能性がありますね。いまの大学生は映像をはじめとする情報に恵まれて育ったため、一部分だけをヒントに全体を想像してデザインする力を伸ばす機会があまりなかったように感じます。

箭内 映像がないから自分の想像力を使う。その力がラジオで鍛えられたら、日本や世界のどこかで辛い状況にある人々にも、もっと思いを寄せられるかなと。

赤井 そう思います。何でも検索できてしまう現在は、情報を探す楽しさをなかなか味わえない。昔は求める答えにたどりつくまで、寄り道を強いられました。その分、情報選別の力が磨かれたし、幅広い情報が知識としてストックされたものでした。

箭内 インターネット社会はもちろん便利ですが、そのなかであふれる情報といかに賢く付き合うか。そのヒントを示していくことも、私たちの役割かもしれません。

臨場感があると伝わっていく

赤井 私が國學院の大学院で学び、教員になって、もう40年ほど。大学を取り巻く環境も、かつてない速さで変化しています。大学自身がスピーディかつ計画的に大きく変わらないと人材育成の使命を果たし切れません。國學院大學は「二十一世紀研究教育計画」に従って、時代の要請に応えられる人材育成のため、教育基盤の整備を推進し続けています。

箭内 大学にもビジョンが求められる時代なんですね。実は「渋谷のラジオ」のコンセプトも「学校」。いろんな分野の先輩たちに、経験と知識を伝えてもらいます。

赤井 興味深いですね。大学教員も学生に対して伝える、いや「伝わる」講義を常に意識しています。教育は希望どおりに進まない。繰り返し伝えることで100%伝わることを目指しています。

箭内 例えば「渋谷のラジオ」にも参加してくださる音楽家の谷村新司さん。あの声とテンポで話をされると、すごく伝わってきます。その話を僕が誰かに伝えようとしても伝わらない(笑)。

赤井 確かに教員にも学生を引きつけるキャラクターが求められます。「講義は再現性のないライブ」というのが私の持論。臨場感を大切にして、食い入るように聞かせる講義を実践しなければいけません。どう伝えるか、どう語るかが、特に重要になってきます。

箭内 ライブといえば、知り合いのミュージシャンが「大きなホールで、一人の自分が一万人のお客さんと一本の糸で結び付こうとしても何も伝わらない。一万本の糸があるつもりでステージに立つ」と話していました。

赤井 講義も基本は対面です。その上にいろいろな方法が構築されます。きっとラジオでの語りにも通じるエピソードですね。

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アクティブラーニングを取り入れた授業の風景。提供された課題に対し、他人の意見を受け止めながら議論を深める授業を通じて、自主性だけでなく、寛容性や謙虚さを養う狙いもある。

日本人らしさを生かしたコミュニケーションを

赤井 「伝わる」ことを追求するなかで、國學院大學では学生が主体的に学ぶアクティブラーニングにも力を入れています。また、互いに意見を戦わせるディベートなども授業に取り入れています。

箭内 なるほど。僕は昨年、ある広告制作の講座で「チャーミングに異を唱える」という課題を出したんです。露骨に大声で相手を批判したって伝わらない。チャーミングに反論する努力が日本全体で不足してきた気もします。

赤井 私たちは、建学の理念である神道精神を「日本人としての主体性を保持した寛容性と謙虚さ」と表現していますが、それにもつながるお話ですね。ディベートでも、いきなり相手を否定するのではなく、いったん受け止めてから話を進めると議論がぐっと深まります。こうした姿勢は、本来の日本人らしさでしょう。

箭内 まさにそう思います。異質な者同士も寛容で謙虚であれば、互いの話が伝わる。つながることができて、おもしろくなる。「渋谷のラジオ」のステーションメッセージは「ダイバーシティ、シブヤシティ」。新しいコミュニティ誕生のきっかけを提供する存在になれたらうれしいです。

赤井 私たちもコラボレーションの機会を楽しみにしています。

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ラジオにはラジオらしい伝わりやすさと人をつなぐ力がある(左:箭内氏)
一度かぎりの 臨場感を大切に 伝わる講義を目指す(右:赤井学長)

 

 

 

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