令和7(2025)年6月17日、午後2時より、渋谷区ふれあい植物センターにて、公開講演会「渋谷から始まった!都市と農業をつなぐアグリノベーション」が開催され、渋谷区民をはじめとする一般の方々や学生・教職員など約30名が参加しました。
本講演会は、研究開発推進センター主催のもと、「Shibuya Social Action Partner(S-SAP)協定」に基づき、渋谷区民の生涯学習を促進する学びの場である渋谷ハチコウ大学と連携して実施されたもの。講師に、渋谷区ふれあい植物センター園長であり、NPO法人アーバンファーマーズクラブ代表理事を務める小倉崇氏をお迎えし、都市農業(アーバンファーミング)の現状や今後の可能性、また食と農を通じて生まれる人と人とのつながり(コミュニティ)の重要性について考える機会となりました。
講演の冒頭、小倉氏は、平成23(2011)年の東日本大震災をきっかけに都市農業に取り組むようになった背景を紹介。震災直後には都市部でも食料不足が生じ、物流が途絶えることで「食」が持続できなくなる危機を強く実感したと語りました。また、日本の農業人口が過去30年で約350万人減少している現状にも触れ、今後の未来も見据えて、「自分たちが食べたい野菜は、自分たちで育てて食べる」という思いから、NPO法人アーバンファーマーズクラブを立ち上げた経緯を説明しました。
講演では、同法人が実施している多彩な取り組みや、海外での事例も紹介され、都市農業が「単に食料を生産するだけでなく、教育・福祉・環境・地域活性など、多様な意義と価値をもつ活動である」ことが語られました。
講演後には、会場である植物センター内の見学ツアーが実施され、参加者たちは環境調整によって多種多様な植物が育成されている様子に関心を寄せ、驚きの声が上がっていました。最後に、参加者からの質問にも小倉氏が一つひとつ丁寧に回答され、和やかな雰囲気の中で講演会は幕を閉じました。