國學院大學法学会主催による令和7年度第1回法学会講演会「法廷メモ訴訟がいま教えてくれること」が、令和7(2025)年6月10日に渋谷キャンパスで開催されました。
講師には米ワシントン州弁護士であり、元明治大学特任教授のローレンス・レペタ氏を迎え、日本の裁判制度の特徴に加え、レペタ氏の出身国であるアメリカとの比較を通じて、法廷メモ訴訟に至るまでの経緯が解説されました。
レペタ氏は昭和58(1983)年、研究目的で東京地方裁判所の刑事法廷を傍聴中にメモを禁じられたことや、提出した取材許可願が理由の説明もなく却下されたことを受け、「法廷でのメモ禁止は国民の知る権利や裁判公開の原則に反する」として国を提訴。全国的な注目を集めたこの訴訟は、平成元(1989)年、最高裁判所において「法廷でのメモは原則自由である」との判断が示されました。
参加した学生からは「本訴訟により、権利としては認められなかったが尊重はされることになった。その結果に満足しているか」との質問が寄せられた。これに対しレペタ氏は、「この判決は進歩ではあるが、裁判の公開原則の趣旨からすれば、さらなる透明性が求められる」と述べ、より開かれた司法制度への期待を示しました。
参加者は、講師の言葉に真剣に耳を傾け、随所でメモを取りながら学びを深めていました。