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文学部講演会「世界におけるギリシア・ローマ古典教育」が開催されました(令和7(2025)年5月31日)

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2025年5月31日更新

 令和7(2025)年5月31日、午後14時より、渋谷キャンパス学術メディアセンター常磐松ホールにて文学部講演会「世界におけるギリシア・ローマ古典教育」が開催されました。

 冒頭、木原志乃・文学部教授が「近年、哲学・歴史学・文学を含む西洋古典学を学ぶことができる学部・学科が、世界規模で減少している。西洋古典学の意義を問い直し、再構築する試みが進められているが、本講演会もその一つとして、若手の研究者とともに古典教育について継続して考える会としたい」と挨拶し、 続いて4人の若手研究者が講演しました。

 

 まずウィニペグ大学助教のフラヴィア・バスコンセロス・アマラル氏が「「新世界」の古典学ー個人的な経験から(Classics in the ‘New World’ : A Personal Account)」と題して、研究を志したブラジルと現在研究の拠点としているカナダでの経験から、西洋古典学の修養の難しさについて講演。学術振興会特別研究員で本学兼任講師の福島正幸氏は、「日伊古典教育の交差点―Liceo Classico Galileo Galileiの事例を通じて」と題し、同氏が学んだイタリアの Liceoでの古典学教育を紹介。古典学が深く根差している同国であってもその研究を志す学生が減少傾向にあるが、日本の教育よりもかなり充実していると述べつつ、日本においてはまずテキストや教科書のあり方等を検討したいと述べました。

 千葉大学助教の酒嶋恭平氏は「歴史学と西洋古典学の間で―日・英大学における西洋古代史教育の比較から」と題し、同氏が在籍したエディンバラ大学における授業資料を提示しながら、同大学の西洋歴史学の教育方法について説明。原典解釈よりも、帝国主義拡張や人種差別を正当化するために利用された古典学史を徹底して学ぶ同大学から、教員数の少ない日本の大学が倣うべき点や古典語教育の重要性について言及しました。最後にダブリン大学のブライアン・クルーズ氏が「ベルギーの教育制度における古典文学ー展望と進展( Classics in the Belgian Education System: : Prospects and Advancements)」と題して、オンラインで講演。ベルギーにはフランス語圏とオランダ語圏とそれぞれに教育制度があり、また古典学教育も古代文学や言語学を重視する独自性があると言及しつつ、研究を志す生徒が減少する傾向にあるのは他と同様であると説明。しかし教育者たちはゲームやデジタルツールを駆使した教育プログラムを構築する等、古典教育の課題に真摯に取り組み続けていると述べました。

 最後に早稲田大学教授の宮城徳也氏が「西洋古典学の研究者が減少しているが、本講演会で、世界中で継承されていることがわかり、大変うれしい。これからも西洋古典学を研究し続けて欲しい」との閉会の辞を述べられました。

このページに対するお問い合せ先: 総合企画部広報課

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