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ルーヴェン大学で第1回国際交流プログラムが開催されました(令和5(2023)年8月22日)

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2023年9月25日更新

 ベルギー王国ルーヴェンに所在するルーヴェン大学文学部(Katholieke Universiteit Leuven、以下、KUルーヴェン)と本学は、学生の交換や研究の交流をはかるべく、令和4(2022)年11月に協定を締結しています。この協定に基づき、8月22日にKUルーヴェンにて、第1回国際学術交流プログラム「18~20世紀日本の政治文化・美術・宗教」がKUルーヴェン文学部日本学科代表のヤン・シュミット准教授と本学文学部の藤澤紫教授、山﨑雅稔准教授、手塚雄太准教授によって企画され、開催されました。このプログラムには、本学から大学院生2名も出席しました。

 

アドリアン・カルボネ准教授の発表

 午後2時からはじまったプログラムではまずKUルーヴェンから3名、本学から5名の研究者がそれぞれ研究発表を行いました。まず本学の大学院生の2名が登壇し、佐藤友美さん(院前・史)は「幕末維新期から明治期における士族の精神」、出口颯涼さん(院後・史)は、「近代日本の選挙と仏教」と題して、それぞれ発表しました。

 続いて、KUルーヴェンの博士課程で学ぶヨリンデ・ウェルスさんが「公衆衛生の政治――帝国日本の赤痢予防キャンペーン 1895-1945」と題して、戦前の行政機関による施策について、ポスターなどの広告の活用例をまじえながら、発表されました。同大学の修士課程を修了したヨアヒム・ヴェルビクさんは「天皇、将軍、ナマズ――鯰絵における天皇と将軍の比喩のシンボル」と題して、鯰絵に描かれた将軍や天皇といった為政者の姿から推察される当時の思想や信仰などについて、鯰絵を示しながら論じられました。

 山﨑准教授は「ジョルジュ・エンシェルの日本コレクション」と題し、明治期の廃仏毀釈によって海外に流出した、由緒ある仏像についての丹念な調査内容を、手塚准教授からは「戦前日本の選挙とジェンダー規範」と題して、現在では当然のように行われている選挙活動における家族の協力がいつ頃から始まったのか、戦前期を対象としてその淵源について、それぞれに発表を行いました。

 最後の発表は、近現代の外交史がご専門のアドリアン・カルボネ准教授から、「朝鮮戦争に於けるベルギー人カルメル会修道女の強制連行ー駐日ベルギー代表の働きかけを中心に」と題する報告がありました。日韓関係、そしてベルギーほか各国の外交史料に通ずるカルボネ准教授は、朝鮮戦争時に発生したベルギー人修道女の強制連行を通じて、当時の国際情勢と外交問題を論じられました。

 プログラムの最後は藤澤教授の発題によるパネルディスカッション。「18~20世紀のメディア絵画」と題し、KUルーヴェンのヤン・シュミット准教授、アドリアン・カルボネ准教授、テリン・フレイヤ博士指導助手と本学研究者を中心に、本プログラムの参加者も含め、ディスカッションが行われました。

アドリアン・カルボネ准教授、ヤン・シュミット准教授、テリン・フレイヤ博士指導助手と藤澤紫教授によるディスカッション

 本プログラムに出席した藤澤教授から、緻密な専門研究においても広い視点を持つことの重要性を、同じく出席した手塚准教授から、自明なものとして考えがちな、日本で、日本について研究することの意義を改めて考える好機となったと、それぞれ感想が寄せられました。また、山﨑准教授は、大学院生の国際交流は日本研究の可能性を広げるため、続けていくことが今後の課題だと述べられました。

UCルーヴァンでの貴重資料閲覧

 本プログラムの前日の8月21日、ヤン・シュミット准教授のご厚意により、同大学の姉妹校であるUCルーヴァン(Université catholique de Louvain)で所蔵されている、日本からの寄贈資料を閲覧させていただきました。第一次大戦時に焼失した大学図書館の復興のためにと、1920年代に日本から寄贈されたもので、点数はおよそ14000冊に及びます。UCルーヴァン基金のダニエル・ライエー部長、付属図書館の貴重書コレクション担当であるフロアー・ギオー氏の案内のもと、なかなか目にすることができない貴重な資料を、訪問した研究者たちは熱心に見入っていました。

UCルーヴァンでの一枚(UCルーヴァンご提供)

 コロナ禍が終わり、教員の海外での研究活動や学生の留学も増えています。KUルーヴェンとの交流プログラムも継続し、本学での開催も予定しています。

※ KUルーヴェン:https://www.kuleuven.be/kuleuven/

 

 

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