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インターンシップやゼミで経験を重ね、高輪ゲートウェイシティのまちづくりに参加

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観光まちづくり学部4年 山野井 かりん さん

2025年1月12日更新

 旅が大好きな山野井かりんさん(観まち4)は、観光まちづくり学部で学ぶことで、旅やまちづくりに対する価値観が大きく変わったと語る。知らない土地や人々との出会いを重ねる中で、新たな自分や可能性を見出してきた成長の過程について話をきいた。

 

『地域を見つめ 地域を動かす』に惹かれる 

 幼い頃から家族と共に旅先で、豊かな自然を楽しんできた山野井さん。旅が大好きになり、大学は観光系に進もうとリサーチしていたところ、國學院大學の観光まちづくり学部と出会う。“観光”を掲げる学部を持つ大学は多いが、“まちづくり”も冠する学部を有するのは國學院のみ。まちづくりとはどういうものか、まったくわからないながらも、学部のキャッチコピーである「地域を見つめ 地域を動かす」の言葉に惹かれて入学した。大学生活では、1年生で「大学に慣れる」、2 ~3年生では「行動する・挑戦する」、4年生で「挑戦を続けながらこれまで出会った人たちにもう一度会いに行く」と段階的に目標を立てて、着実に歩みを進めている。

 

旅の概念を変えたインターンシップ 

 2年次に参加したインターンシップは、山野井さんにとって特に印象深い経験となった。

 「まず、夏休みに仲間6人で新潟県の一之貝集落を訪れました。集落の皆さんと夏祭りを楽しんだり、清掃活動をしたり…。おもてなしされるばかりでいいのだろうかと心配になるほどだったのですが、『若い人が来てくれるだけで、地域の人が集まることができるし、元気になる。そのきっかけをくれるだけでうれしい』と言ってもらえて。皆さんの気持ちがうれしくて、6人で一之貝の四季を体験すると決め、春は田植え、夏は祭り、秋は芋掘り、冬はかまくらづくりを目的にして、何度も訪れています。冬には、淡路島の洲本に滞在し、地域おこし協力隊の皆さんと一緒に、空き家の改修やイベントのお手伝いをしました。淡路島のブランド化に対する地域の方々の多様な意見を耳にしたり、大手の開発とは違う、個性ある空き家活用の取り組みを目の当たりにするなど、まちづくりについて考えるひとつの転機になりました」

 3年生になると、さらに世界は広がる。

 「夏休みに、インターンシップで沖縄の国頭村(くにがみそん)を一人で訪れました。移住体験スペースに滞在して、行政や旅行会社の方など、現地で仕事をしている方々と出会いました。皆さん地域をより良くしようという強い想いを抱いて活動なさっていて、住民の方々も全力で応援している様子が印象的でした」

インターンシップで訪れた土地で、人々の優しさや地域に対する想いに触れ、多くの学びや気づきがあったと語る。

 そして、心配性の性格を克服しながら、海外にも出かけていく。

 「大学のスタディツアーでタイに行きました。それが海外初体験で、そこからラオスへ一人旅。いわば不安を解消するための訓練です。一人旅ができれば、ゼミでカンボジアやベトナムへ行っても仲間に迷惑をかけることはない、という自信を持ちたかったのです。カンボジアの後には、難易度が高いとされるインドへの一人旅にも挑戦しました。海外での体験は異文化の嵐で、本当の豊かさとはなにかを考えさせられたり、外国人の私を垣根なく受け入れてくれた人々の優しさに感動したり…。海外では見ず知らずの人とも会話を楽しめるなど、日本にいるときには考えられないほどオープンになる自分自身にも驚きました」

 自らを「心配性なくせにいきなり大胆な行動力をみせる」と分析する。心配性であるがゆえに入念にスモールステップで計画を立てつつ、それでも湧いてくる不安や心配のかたまりを押しのけて、未知の世界へ飛び出していく。チャレンジングな学びと体験を重ねて、旅に対する概念も大きく変わったという。

 「高校生までの旅は、家族と楽しく過ごして思い出をつくるというものでした。大学生になってからの旅は、知らない土地へ行き、自分とは違う価値観や目標を持っている人たちと出会う時間になりました。出会いにより、将来の選択肢が広がり、新たな自己発見もできる。これこそが私にとっての旅だと考えるようになりました」

 

スタディツアーやゼミの機会を活かし、海外へ。心配性の性格を克服しながら、異文化へ飛び込んでいった。

 

国内最大級のまちづくりに参加

 観光まちづくり学部が出展したツーリズムエキスポに参加した山野井さん。そこで会った國學院大學の職員の紹介で、高輪ゲートウェイシティのまちづくりに関わることになる。高輪ゲートウェイシティとは、JRの車両基地だった土地を活用して開発が進められている延床面積84万5000平方メートルもの国内最大級のまちづくりプロジェクトだ。人と自然、テクノロジーをつなぐ、100年先の心豊かな暮らしの実験場と位置付けられている。高輪ゲートウェイ駅を中心に、オフィスやホテル、教育機関、複合文化施設、商業施設、ガーデンやホールなどを擁する壮大なプロジェクトのなかで、山野井さんは、その施設の一つである「Gateway Studio」でコミュニケーターとして活動している。

 「「Gateway Studio」については『皆さんの“やりたいこと”の種を育む畑のような場所』と説明しています。誰かの“やりたいこと”は、誰にとっても“良いこと”につながる、という想いのもと、ここでの活動全体を“TAKANAWA GOOD”と呼んでいます。来場者の“やりたいこと”を実現するためには、いつどこでどのようにしていけばよいか一緒に考えることが、コミュニケーターの主な仕事です」

  “やりたいこと”は“WISH”と呼び、WISHカードに書いて掲示板に貼って、他の来場者とシェア。そのWISHカードを見て共感する人が集まったグループは“BEANS”と呼ばれ、まちのなかの小さな部活動のような存在として活動している。山野井さんもBEANSを持っているのだそうだ。

 「私は一人居酒屋が好きで、高輪のおすすめの居酒屋を紹介して欲しいというWISHカードを掲示しました。そうしたら、地図を作りたいというWISHの方がいて、二人のWISHを掛け合わせて“高輪ご近所BEANS”というグループが出来上がりました。BEANSのスタートにあたって、仲間のお勧めスポットを書き出し、次にまち歩きをしてみて、地図を仕上げるというふうに段階を踏みながら、どんどん仲間を集めていきます。いずれは来場の方々に自らBEANSづくりを実践していただけたらいいなと思いながら活動しています」

 コミュニケーターとしての課題や、やりがいについては、「「Gateway Studio」は、何にでも使えるオープンスペースで、私たちコミュニケーターは、WISHの構想を手伝うことのほかに、WISHを集めてイベントを開催したり、高輪のまちの情報を発信したりしています。ただ、令和7(2025)年3月にまちびらきしたばかりで、まだ十分に知られていないということもありますが、自由なスペースであるがゆえに、休憩したり、展示されている模型を見学したりするだけで帰ってしまう人が多いのが実情です。私の願いは、まずは、ここに来た人が隣にいる人とお話をしてもらうことです。そしていずれは、ここに来たら誰かがいて、おしゃべりできて、というように人と人が繋がっていける場になってほしいなと思っています」と語る。

 初対面の人同士に会話を始めてもらうにはどうしたらよいかと考え、山野井さんは絵しりとりを思いついた。

 「絵しりとりは本当に小さな取り組みなのですが、例えば私がリンゴを描いてスタートして、初対面の人に次に何かを描いてみてくださいと声をかけていくと、何も会話の種がなくても、しりとり一つで自然と話が広がります。『ここには待ち合わせのつもりで来たのに、すごく楽しくて来てよかったです』と言ってくださる方もいて。そういった関係性の積み重ねで、今後、高輪に来たときに、この場所を使ってみようと思ってくれる人が増えていくのではないかと期待しています」

  目を輝かせて話すその様子からは、山野井さんが人と関わることを心から楽しんでいることが伝わってくる。その日その時に会えた人やコトを、とても大切にしている。誰かの記憶に残ったり、新しい一歩を踏み出せる人がいたり、小さな交流からでも生まれる思いがけない広がりを、きっと幾度も見てきたのだろう。「観光まちづくり学部で学んだことで、予想もしていなかった経験がたくさんできました。将来は人に関わりながら新たな価値を生み出す仕事がしたいです」と笑顔で語る山野井さん。その笑顔は、誰をも明るく元気にする素敵な力を持っている。

高輪ゲートウェイスタジオという新たな居場所を見つけた山野井さん。この場所や仲間をずっと大事にしたいと語る。

 

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