令和7(2025)年、横浜・たまプラーザキャンパスは、その開設から40回目の節目の年を迎えた。同キャンパスが横浜市青葉区新石川の地に根を下ろし、変わりゆく社会環境のなかでどのように発展してきたのか、その軌跡を辿りたい。
國學院大學創立100周年記念事業の一環として新石川(当時は神奈川校地と称した)に新たな校舎と体育館の建設が計画されたのは、昭和55(1980)年のことであった。しかし、学生運動や社会情勢の影響により計画が遅れ、校地および校舎の完成をみたのは昭和60年3月のことであった。翌月より授業と課外活動が開始され、学問の場としての新たな基盤が築かれるとともに、新校地はその後の地域社会との深い結びつきに寄与することとなる。
平成5(1993)年には、「萬葉の花の会」が創設され、万葉集に登場する植物を通じて日本の自然や文化を理解することを目的とした公開講座が毎年開催されるようになった。この講座は地域住民との交流の重要な場となり、キャンパス内の「萬葉の小径」では万葉集に登場する植物が植栽され、訪れる人びとは古典文学と自然との深いつながりを感じながら学びを深めることができる。
近年、たまプラーザキャンパスでは再開発が進み、施設の更新と拡充がおこなわれた。とくに、1号館の外装改修や「SPORTS SQUARE3」の新設が進み、キャンパス内の動線や利便性が向上した。また、令和4(2022)年には「観光まちづくり学部」が新設され、地域社会との連携を強化する学問領域が追加され、文系・理系の枠を超えた学びの場が提供されることとなった。これは人間開発学部(平成21(2009)年開設)ですでに進められてきた地域に密着した教育の展開や、心身の「健康づくり」促進を目指した実践的社会貢献活動とも相俟って、地域との共生を深め、次世代のリーダーを育成する基盤としていっそう重要な役割を果たすことが期待される。
また、創立140周年記念事業の一環としておこなわれた神殿造替・移築事業では、渋谷キャンパスに90余年にわたり鎮座してきた神殿がたまプラーザキャンパスに移築され、令和6(2024)年12月16日に清祓式を執り行った。今後は歴史的建造物として保存・継承される。と同時に移築された神殿には、地域住民にとっても身近な存在となることが期待され、地域との繋がりの強化への寄与といった点で、これからのたまプラーザキャンパスに注目したい。
たまプラーザキャンパスは40年にわたって学問と社会のニーズに応え、地域社会とともに成長してきた。今後もその伝統を守りながら、国際的な視野を持つ人材を輩出するためにさらなる発展が求められるだろう。
移築後の旧神殿