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國學院大學考古学研究室が長野県安曇野の穂高古墳群を調査する4

考古学実習レポート 第4回(報告編)

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2017年1月27日更新

実習参加者の7割を占める“考古女子”の奮闘を4回にわたって紹介します。
制作・Newton

石棺に埋葬された古代人の姿を再現する

昨年4月から始まった「考古学調査法」の授業で考古学調査の基礎を学んだ実習生たち。8月には長野県安曇野市でホンモノの古墳(穂高古墳群F9号墳)の発掘調査に参加。古代の轡(くつわ。乗馬の際、馬の口にくわえさせ、手綱につなぐ金具)2点を見つけるなど、見事な成果を挙げました。しかし、学術調査は掘り出して終わりではありません。彼女たちは渋谷にある國學院大學考古学実習室に戻り、年末まで、出土した貴重な遺物の整理、分析を続けました。そして新しい年が明け、いよいよこれまでの実習の成果を「2015年度 発掘調査報告書」としてまとめる作業に取りかかっています。

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古墳時代後期から存在したF9号墳の全貌がわかるよう、出土した遺物の意味を考えながら展示品を選んでいく。

熱気ある編集会議で、深澤太郎准教授が実習生たちに何度も確認するよう指導したのは、各遺物が出土した位置を示す測量データでした。今回の調査で新たに見つかった切子玉、ガラス小玉の大半はある特定のグリッド(区画)から出土していました。これらの装飾品が、この古墳に埋葬されている古代人のネックレスや腕輪だったと考えると、その位置関係や状況を正確に知ることで、埋葬当時の様子を推理できます。ガラス小玉の近くにあった赤い土は、化学分析の結果、酸化第二鉄だということが判明しました。この素材は弁柄(ベンガラ)と呼ばれ、古墳時代には呪的な顔料として、埋葬施設や葬者の周辺に塗るなどしてつかわれていたことがわかっています。2014年の調査では、この近くのグリッドから耳環(古代のイヤリング)も出土していますから、これらの位置関係から、埋葬者の姿やファッションの様子が浮かび上がってくる日も近そうです。

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編集会議では出土した2つの轡の構造が違うことが報告された。1つには修理痕があり、埋葬された古代人が実際に使用していた馬具だった可能性も。

博物館展示が決定!古墳時代の轡、鉄鏃も

2009年から続く穂高古墳群F9号墳調査では、これまで474点の遺物が出土しています。今回、この古墳の特徴を示す出土品を選び、國學院大學博物館(渋谷区)で特別展示をすることが決まりました。もちろんこのレポートで紹介した2つの轡、鉄鏃(てつぞく。鉄製のやじり)も公開される予定。この展示も実習生にとっては勉強の場です。「斜めに配置すると迫力が出ませんか」「後世に埋められたものは後ろがいいのでは?」と意見を出し合っていました。自分たちが発掘し、整理、分析したモノですから、当然思い入れも深くなります。並べ方にも意味を持たせ、モノの向こうにある古代のヒトや生活を正しく伝えたいという気持ちが現われていました。展示パネルも彼女たちがつくります。「本物の持つ迫力を感じに来てください」(深澤准教授)とのこと。お近くの方はぜひ。

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見栄えに配慮しながらも、モノの向こうにあるヒトや歴史を表現するように並べる。

國學院大學博物館にて展示公開決定!

國學院大學考古学研究室が考古学実習の一貫としておこなってきた、穂高古墳群の調査・研究の成果を展示公開いたします。

期間:平成28年2月26日~4月30日
場所:國學院大學博物館
時間:午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
開館日:通年(土・日・祝日含む)
休館日:不定期
入館料:無料

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