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第26回「狂言の会」が開催されました(令和7(2025)年10月9日、10日)

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2025年10月14日更新

 令和7(2025)年10月9日・10日の2日間に、「狂言の会」がたまプラーザキャンパスで開催されました。 

 今回26回目を迎えるこの催しは、日本の伝統芸能である狂言に親しんでもらおうと実施されているもので、人間国宝で院友の山本東次郎師(昭36卒・69期文)をはじめとする大蔵流一門の至芸を間近で見ることができる機会とあって、毎年多くのご応募をいただいています。 今年は、両日併せて約730人が一般上演に参加しました。

【10月9日(1日目)】 

 初日となる9日は、午前と午後の2部構成で行われました。午前の部はたまプラーザキャンパス近隣の山内小学校、新石川小学校、元石川小学校、美しが丘小学校の6年生約400人を招き実施。太田直之副学長(人間開発学部長・たまプラーザキャンパス長、教授)があいさつしたのち上演にうつり、小学6年生の国語の教科書にも掲載されている大蔵流の「柿山伏」が披露されました。

 午後の部に行われた一般上演では、「昆布売(こぶうり)」「舟船(ふねふな)」「鎌腹(かまばら)」の3つの演目が披露され、演目終了後には東次郎師から演目の解説が行われました。東次郎師は「人は意地を張ったり、落ち込んだりする。そんな人間の愚かしさを肯定し、生きていることは楽しく、価値がある事なんだと言い続けているのが狂言です。人間の愚かしさを知り、謙虚になることで人と人との摩擦は起こらなくなるのではないか。そんなこと問いかけながら、狂言は700年近く続いてきたのだと思っています」と語り、最後に舞を披露して締めくくりました。

 

【10月10日(2日目)】 

 10日は第一演目として東次郎師がシテを務める「音曲聟(おんぎょくむこ)」が披露されました。シテの舅(しゅうと)が世間知らずのアドの聟から聟入りのあいさつを受け、でたらめな作法を教えられた聟の振る舞いに戸惑いつつ、恥をかかせまいと奇妙な作法に付き合う舅との掛け合いが見どころ。滑稽さの中に深い人情がにじみ、客席の温かな笑い声を誘いました。

 続く「仏師(ぶっし)」はシテのすっぱ(詐欺師)が都に出てきたアドの田舎者をだまそうとして逆に翻弄(ほんろう)される物語。

 最後の「蝸牛(かぎゅう)」ではアドの主から長寿の薬とされるカタツムリを探してこいと命じられた太郎冠者(アド)が、カタツムリが何かを知らず、やぶで寝ていたシテの山伏をそれと間違えます。カタツムリのふりをした山伏が「でんでんむしむし」と繰り返すユーモラスな囃子物(はやしもの)に客席も大いに盛り上がりました。

 終演後の解説では、東次郎師が現代人が失いつつある礼節と、謙虚であることにより不必要な摩擦を避ける「引き算」の文化を守っているのが狂言だと強調しました。会場との質疑応答では足袋の色や面の持つ意味などさまざま質問が寄せられました。

 最後に司会の学生から東次郎師に花束が贈られ、大きな拍手に包まれました。

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