研究室探訪―宍戸 節太郎 先生

2017年3月30日更新

現代ドイツの文学・思想・文化 

 1905年、ブルガリアに生まれ、1994年に歿したユダヤ系ドイツ語作家・思想家のエリアス・カネッティは、幸い日本では翻訳にも恵まれ、すでに主だった著作はほとんどが日本語に訳され、書店で手に取ることができます。カネッティは1981年にノーベル文学賞を受賞し、主要な書店では書棚になければ書店としての見識が問われかねない、二十世紀ヨーロッパの最も重要な作家・思想家の一人に数えられます。初期作品に見られる合理性や言語に対する批判的眼差しがのちに、科学的世界像を補完的に補う、明示的な文学的世界観の要請にいたるカネッティ思想の中心テーマ、「変身」、模倣、共感の問題を手掛かりにしながら、激動の20世紀、現代ドイツの文学、思想、文化状況に思念を巡らせてきました。この数年は、ベルリンの壁崩壊以後の旧東独地域の人々の生活、文化状況、またオーストリア=ハンガリー帝国期、とりわけスロヴェニアの人々の生活、文化状況について鋭意取り組んでいます。

 

中央は拙著『カネッティを読む』(現代書館より2013年2月刊)

 

中央はドイツの子供たちに人気のキャラクター「マウス」

 
 
 
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