充実のゼミと講義【基礎ゼミ】
 蔵の街・栃木市の課題を 小江戸料理博物館で解決!

2024年4月10日更新

観光まちづくり学部1年(取材時) 中西 雅さん

老舗旅館の女将さんの小江戸料理誕生秘話に感動

かな半旅館でいただいたとちぎ小江戸料理

私の選んだ基礎ゼミの課題1では、まず重要伝統的建造物群保存地区について学びました。その後、夏休みにその一例として栃木市を訪れ、どんな課題があるのかを明らかにし、その解決策を考えて発表するフィールドワークを行いました。

栃木市の保存地区である嘉右衛門町は、江戸時代からの店舗や蔵が残っていることから、「蔵の街」とも呼ばれます。塚田歴史伝説館や栃木市立文学館(旧栃木町役場庁舎)など
を見学。また、油伝味噌(あぶらでんみそ)という江戸時代から続く味噌屋さんのご主人に話を聞きました。ご主人は伝統を受け継ぐ一方で、新たにクラフトビールの製造を始めて、地ビールまつりなどを開催して地域を盛り上げているとのことでした。

そのほかにも、例えば月曜日はコーヒーショップ、火曜日はレストランというように曜日ごとに店主が代わる空き家を利用したシェアキッチンも非常に面白いと思いました。私たちが行った日はコーヒーショップで、店主の方は賃料が安かったので出店を決めたと話していました。

嘉右衛門町から新栃木駅に戻る道すがら、ゼミの友だちとこのまちの課題について話し合いました。そこで「お土産屋さんがない」ことが話題に上りました。このときの会話が後にまちの課題とその解決策をプレゼンテーションするときに役立ちました。

栃木の新名物に「とちぎ小江戸料理」があります。老舗かな半旅館の女将さんの話によると、蔵に古文書が残されていたそうです。その古文書は江戸時代の献立表で、それを基に独自の小江戸料理を作り上げたといういきさつに、とても感動しました。これを課題解決に活かせないかと思いはじめました。

旧栃木警察署跡地を活用した蔵の街らしい拠点づくり

課題解決策を考える際に、蔵の街大通り沿いに旧栃木警察署跡の空き地があったことを思い出しました。栃木市のホームページを調べると、この土地の利用方針へのパブリックコメントを実施していて、駐車場という意見が多く寄せられていました。駐車場ではあまりまちづくりにつながらない、もっと良い活用法があるのではないか。そこで思いついたのがここに小江戸料理博物館を建てるという案です。古文書を展示し、小江戸料理を提供し、小江戸料理のお土産を作って売る。そうすれば若者が来やすいし、お土産屋さん不足も解消できます。

この案はユニークだったらしく、高い評価をいただき、後日、栃木市役所や東武鉄道の方々の前で再度発表する機会も得ました。

これまで私は歴史的な建造物に全く興味がなかったのですが、この基礎ゼミを通して視野が広がりました。私は、「都市開発=ゼロからの開発」と思っていたのですが、既存のまちをリノベーションしたり、歴史的なまちを活かしつつ新風を取り入れていくなど、さまざまな方法があることを知りました。また、この学部には私にない視点を持っている人が多く、発表などもとても面白く、他の人の意見は宝だと思いました。

このゼミを受ける前に、川越や佐原などさまざまな保存地区に行って予備知識を身に付けておいたほうがもっとよかったというのが私の反省です。また、地元の方々の話には課題やヒントがたくさん詰まっているので、聞き逃さないように常にメモを取ることをおすすめします。

大通り沿いの見世蔵

このページに対するお問い合せ先: 観光まちづくり学部

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