根岸 毅宏

教授

根岸 毅宏

ネギシ タケヒロ

所属
経済学部 経済学科
研究分野
財政学
  • 研究・教育活動

    学位

    博士(経済学) (2001年3月 國學院大學 経博甲第5号)

    研究テーマ

    論文

    アメリカの所得格差の拡大と所得再分配の動向(2022/04/01)

    アメリカのTANF現金扶助受給者を就労者へと移行する雇用プログラム(2018/09/15)

    著書

    『アクティブラーニングで学ぶ 日本の経済』(2021/04/01)

    『福祉国家と地方財政』(2014/09/15)

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教員からのメッセージ

21世紀の日本と財政を考えよう

 格差社会に関する「ワーキングプア・ネット難民・派遣村」、少子化に関する「子ども手当・待機児童・小児科の人手不足」、高齢化社会に関する「年金(記録)問題・後期高齢者医療制度・外国人介護士の受け入れ」など、政府による解決が期待される問題は数多くあります。
 ところで、政府が何らかの政策を実施するためにはお金が必要となり、このお金は税金という形で私たち国民が負担します。政府の役割が増えれば税金も増える必要があります。しかし、増税に対しては国民も政治家もマスコミもネガティブなイメージを持っていて、「増税は政府の無駄をなくしてから」とよくいわれます。2009年に民主党政権の行政刷新会議が行った「事業仕分け」では、削減総額は1.7兆円(日経新聞11月27日)と見込まれました。
 2010年度の国の予算(政府案)をみると総額は92.3兆円であり、収入の内訳は税収37.4兆円、公債金44.3兆円、その他10.6兆円です。公債金は国債を発行した借入を意味するので、国は収入の48.0%を借入れていることになります。次いで、税金の負担と《税金と社会保険料の負担》の国際比較(財務省資料)をみると、国民所得比で日本 23.0%《38.9%》、アメリカ 26.1%《34.8%》、ドイツ 29.1%《52.0%》、フランス 37.8%《62.4%》、スウェーデン 49.0%《66.2%》です。日本は税金の負担が最も低く、年金・医療・介護の給付に充てる社会保険料の負担を含めても2番目に負担の低い国です。
 どうやら日本は、税金の負担が低いために国の支出の半分を借入れに頼ることになりながらも、まだまだ政府に解決を期待する問題が数多くあるようです。国債による借入れの残高は2010年3月末に約600兆円(国民1人当たり500万円超)になります。将来、皆さんは、その時々の政府の活動の資金だけでなく、この巨額の借入れの返済と高齢社会の費用を負担しなければなりません。
 政府にどういった役割や活動を期待し、どの程度まで税金や社会保険料を負担しますか。生活に直接関係する21世紀の日本の財政を一緒に考えましょう。

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