法学部×法曹界

2020年1月14日更新

~仲間に囲まれ、突破した難関~

司法修習生 大友美穂さん

(法学部 法律学科 法律専門職専攻 2016年卒)

ロースクール、そして司法試験をめざすとなると、たった一人で勉強に打ち込む孤独な闘いをイメージしませんか? 大学で切磋琢磨できる仲間を得て、さらに手本となる先輩やよき先生たちにも恵まれて難関を突破したのが、法律専門職・卒業生の大友美穂さんです。そんな大友さんが過ごした、法律専門職専攻での学生時代について話を聞きました。

研究会のつながりが、モチベーションに直結

――このたびは司法試験合格、おめでとうございます。大友さんは、どのようなきかっけで弁護士をめざしたのでしょうか?

 

中学校の「公民」で憲法を学んだ際に「憲法っておもしろいな」と、素朴な興味を抱きました。日本国憲法には、短い文言と限られた条文数の中に、日本が歩んできた歴史とたくさんの人々の思いが集約されています。そして、これによって現代を生きる私たちは守られ、さらに自由も謳歌できるのだと思いました。憲法にそんなロマンを感じた私は、漠然と法律を使った仕事をしたいと考えるようになりました。そこで頭に浮かんだのが、弁護士という仕事です。高校進学後すぐに、大学は法学部に進もうと決めました。

 

 

――法律専門職専攻に入学後、司法試験までひたすら勉強に打ち込む日々を送ってきたかと思います。そこでモチベーションになったのは何でしょうか?

 

大学入学当初から司法試験を目標に掲げ、3年次には法科大学院(ロースクール)に向けての受験勉強を本格化しました。予備校には通わず、大学の授業と自主学習にしぼって勉強に集中しました。以降はロースクールを経て、司法試験まで、ほとんど勉強とアルバイトの記憶しかありませんね。そこでモチベーションとなったのは仲間たちの存在です。私の場合はたった一人で勉強を続けるのは精神的に辛かったので、互いに高めあっていける仲間に囲まれることで刺激を受け、授業や試験に関する情報交換もし、適度に愚痴も吐き出しながら乗り越えました。そんな私の支えとなった國學院大學内のコミュニティの一つが、ロースクールや国家公務員をめざす学生が集う「学生刑事法研究会」です。ここでは多様な論点を巡って学生同士で発表を行い、先生からは論述問題の添削指導を受けていました。研究会は先輩と後輩のタテのつながりも強く、ロースクールに進学した先輩から実践的なアドバイスをもらうこともできました。

大学で培った盤石な基礎が自信に

――法律専門職専攻で、印象に残る授業について教えてください。

 

1つ目は中川孝博先生の「刑事手続法概論」(1年次)です。1年生にはレベルの高い内容でしたが、ここで法律書面の書き方や論述の書き方など、法律文章の基本的な「型」が身に付いたと思います。その上で3年次には同じく中川先生の「刑事訴訟法II」を受講し、法的三段論法をはじめとする、法律家としてロジカルに考えるためのフレームワークを修得していきました。そして2つ目が、植村勝慶先生の「憲法応用演習I・II」(3・4年次)です。何千字もの論述をすべて手書きでこなさなければならず、指にタコができ、指先が真っ黒になったほど。ただこれは、現在も手書きで行う司法試験を見据えた書くトレーニングでもありました。さらに論述を叩き台として行うディスカッションでは、教科書通りに解答しようものならその理由を必ず問われ、答えられないと少し厳しい言葉でお叱りを受けました。丸暗記では決して太刀打ちできない司法試験に向けて、根底から理解して考える力を鍛えられた授業でしたね。

――「恩師」を一人挙げるとすると、どなたですか?

 

中川先生や植村先生、さらにはゼミの佐藤秀勝先生(民法)など、どの先生とも距離が近く、アポイントなしで研究室に伺ってもあたたかく迎え入れてくれました。その中であえて一人を挙げるとすると、やはり関哲夫先生(刑法)でしょうか。先ほど話した「学生刑事法研究会」で、オブザーバー的な立場でご指導くださったのが関先生でした。研究会で論述問題を提出すると、丁寧な書き込みで一面真っ赤になった答案が返ってきました。採点済みの答案をPDF化していち早くメールで返してくださったり、たった一つの質問にも根気よく教えてくださったりと、日々勉強に追われる私たち学生を第一に思い、誠意を尽くして支えてくれました。さらに関先生に限らず、少人数制の法律専門職専攻ではすべての先生方が、がんばっている学生を大変親身に、卒業したあとも応援してくれました。やはりこれが、法律専門職専攻の一番の魅力だと思います。

第一志望のロースクール合格を果たす

――ロースクールをめざす過程では、困難に直面した時期はありましたか?

 

壁にぶつかったのは2度ほどありました。1度目は、必修科目が山ほどあった2年次に、1日にいくつもの試験が重なって、単位が取れないのではないかという不安に襲われ自宅で泣きました。でも、今思うとこれは序の口でしたね(笑)。2度目はロースクールの受験勉強に本腰を入れた3年次です。基本三法(憲法・民法・刑法)だけでも大変なのに、大学院によって会社法や民事訴訟法、刑事訴訟法など受験科目が異なるため、入試本番までに勉強が間に合わないのではないかと、心が折れそうになりました。その時は友人から掛けられた「今から勉強すればいいじゃないか」というひと言に救われました。ごく当たり前のことですが、この言葉のおかげで気持ちが前向きに変わりました。そして、この友人とともに、第一志望であったロースクールの既修者コースに合格することができました。

 

 

――念願の司法試験合格を果たし、まずは司法修習生として第一歩を踏み出しますね。法律家としての今後の方向性をお聞かせください。

 

司法試験は2度目の挑戦で合格を果たしました。合格の第一報は母へ、そして関先生にもメールでご報告すると我がことのように喜んでくださり、心から嬉しく思いました。でも、息つく暇もなく合格後すぐに就職活動、そして修習前のセミナーや課題などがあり、忙しい毎日を送っています。将来的には企業内弁護士をめざしています。法曹資格を持つビジネスパーソンとして、法律とビジネスの懸け橋になる弁護士になりたいと考えています。

プロフィール

最高裁判所 司法研修所 第73期司法修習生/法学部 法律学科 法律専門職専攻2016年卒/早稲田大学 大学院法務研究科を経て、2019年司法試験に合格/司法試験合格後は、国内旅行や街あるきを楽しみ、ひさしぶりに羽を伸ばしたと笑みを見せる。

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