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國學院大學
伝統文化リサーチセンター

平成20年度研究報告会

2010年7月8日更新



1. 開催趣旨
 今回の報告会では、(1)「神社祭礼に見るモノと心」グループが1,202社の神社を対象に行った神社祭礼に関するアンケート(平成20年2月5日~3月25日実施)の調査結果の報告を行う。 また、(2)日牟礼八幡宮左義長祭で行った調査(平成20年3月14~18日実施)の研究報告を行う。さらに、(3)これらの報告に基づいた討論を行うことで、神社の祭礼に関する研究の課題を浮き彫りにする。
 
2. 日時
 平成20(2008)年6月21日(土) 14時30分~16時
 
3. 開催場所
 本学渋谷キャンパス学術メディアセンター棟5階会議室06



4. 発表者・発表タイトル
 開催の挨拶  茂木 貞純 (本センター教授  本グループリーダー)
 1. 「神社祭礼に関するアンケートの成果報告」
     島田 潔 (本センター客員研究員)
 2. 「日牟礼八幡宮左義長祭の調査報告」
     小島 優子 (本センターポスドク研究員)
 総括  茂木 貞純
 司会  池谷 浩一 (本センター客員研究員)


5. 概要
(1)昨年度実施したアンケート調査、「祭礼の地域差と伝播に関するアンケート-祭礼に登場する曳きものと動物に注目して」について下記の通り報告を行った。
 調査対象は全国の神社1,202社、回答数は484社(40.2%)であった。このうち、祭礼の中で「曳きもの」が出ると回答のあった神社数は183社、「動物」が出ると回答のあった神社数は122社であった。この調査結果から、「曳きもの」と人形や作り物など他の要素との組み合わせパターンに地域性が認められることが、指摘された。また、回答のあった「動物」の種類で最も多いのは「獅子」であり、その大半が獅子舞であることや、その他どのような動物が登場しているかについての集計が公表された。但し、「動物」に関しては、現段階で地域性を抽出することは困難であるという結果が報告された。
 以上の報告に対し、(1)今後のデータを充実させる作業、(2)アンケート結果の活かし方、(3)アンケート報告書に他のデータを加えるか否か、(4)報告書の刊行予定といった点について質問があった。これに対して、(1)データの充実のためには、市町村史や調査報告書、各地域での研究成果等から、データの収集を行うこと、(2)アンケート結果単独では断定的な結論は出せないが、今後、回答の詳細な分析を進めることにより、全国的な傾向性は、ある程度把握できると考えていること、さらに(3)アンケートの報告書はアンケート結果のみでまとめること、(4)報告書等をできるだけ早期に刊行する必要があるという考えが示された。
 
(2)昨年度実施した祭礼調査に関して、「左義長祭に見るモノと心の関係」をテーマとして下記の通り報告を行った。
 左義長祭においては、(a)除厄、(b)五穀豊穣、(c)新年の和平を祈る、(d)町の繁栄を示すという心が示されており、これらは、(1)祭礼の構造における人々の営み、(2)左義長というモノの構造、(3)左義長祭の歴史的伝統の中に表れ、モノと心にまつわる諸要素は互いに絡み合っているという考えを示した。さらに神社祭礼に見られる「モノ」は地域集団が有する暗黙の了解を具現化したものであり、祭礼の社会的意義は集団の力を強化することにあるという提示を行った。ここから神社祭礼に参加する人々の心は、(1)祭礼を構成するモノに一定の意味付与を行い祭礼の原動力となる、(2)祭礼を構成するモノを伝承と接続し、祭礼が継承される起因となる、という分析を行った。
 以上の報告に対し、(1)左義長祭における魔物を倒すという伝説と(2)清祓式の中で御幣を渡すこととの関係についての質問、また(3)集団の団結力とモノとの関係について質問があった。これに対して、(1)魔物を倒すという伝説は中国の遊び毬杖が悪徒を倒して打ったことに由来するのと関係があるのではないか、(2)御幣との関係では、神は善いものとして現れることもあれば災いをもたらすものとして現れることもあるという回答を行った。また、(3)近江八幡市の歴史的特性を考慮するならば、安土から移住した人々が旧来の氏子に対抗心を持ち、城主を失った後も全国に行商に出て近江商人として成功した町の経済的繁栄を示すという要素が祭の中で大きな比重を占めるのではないかという考えを示した。
 
6. 所見
(1)アンケートに関しては、回答を多様な観点から分析することによって、曳きものや動物の種類や形態が祭礼の種類や形態、祭礼の中での役割とどのような関連性があるのかについて一定の見解を見出す必要があると思われる。
(2)祭礼調査に関しては、神社祭礼で用いられる「モノ」がどのように地域の人々の祈念や集団の団結力と関連するのかについて、神事や史料の分析、さらに他の地域における祭礼との比較検討が必要であると思われる。
 
(文責: 小島 優子)



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