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國學院大學
伝統文化リサーチセンター

出雲地域における祭祀遺跡・遺物調査(第2回)

2008年11月13日更新

1. 調査目的
 本調査は『出雲国風土記』に著された神奈備山である大船山と仏経山、および磐座のランドスケープ分析のためのデータ収集を目的としたものである。また、島根県立古代出雲歴史博物館で開催された山の考古学研究会に参加し、全国各地の研究者との意見交換、情報交換も行った。
 
2. 出張期間 
平成19(2007)年12月7日~9日(2泊3日)
 
3. 調査地 
大船山・大船山遺跡・島根県立古代出雲歴史博物館・日御碕神社(島根県出雲市)、佐太神社・恵曇神社・松江市立鹿島歴史民俗資料館・熊野大社・石宮神社・女夫岩遺跡(松江市)、仏経山・曽枳能夜神社(簸川郡斐川町)
 
4. 調査参加者
内川 隆志 (准教授)
加藤 里美 (講師)
新原 佑典 (リサーチアシスタント)
 
5. 活動の概要 
12月7日
 錦田剛志本センター共同研究員(島根県立古代出雲歴史博物館学芸員)の案内により、磐座に関わる恵曇神社、石宮神社、女夫岩遺跡を踏査し、GPSによる測位を実施した。
12月8日
 『出雲国風土記』に記される神名火山である仏経山(標高366m)に登山する。山頂の曽枳能夜神社の奥宮跡、麓の曽枳能夜神社と併せてGPSにより測位した。のち山の考古学研究会第20回大会第1日に参加、錦田剛志氏による講演「『出雲国風土記』にみる神祇祭祀の空間」を聴講し、企画展「弥生王墓誕生」を見学した。
12月9日
 山の考古学研究会大会第2日として、出雲市多久町の大船山(標高327m)に登山する。山頂からやや降った地点に所在する大船山遺跡を踏査し、写真撮影とGPSによる測位を行った。
 
6. 所見
 この調査は夏期調査で得た知見や問題点を検討し、今後の調査対象の中心となる遺跡や資料の選定に向けて、神奈備山や磐座をめぐる神社・遺跡の踏査を実施した。GPSによる測位を中心に写真撮影も併せて実施し、データの補強を行った。
 大船山登山では『出雲国風土記』楯縫郡条に「徑の側に小石神百餘許あり」とみえる大小の岩の存在を確認することができた。また大船山の中腹からは4つの神奈備のうちの茶臼山・仏経山を望むことができ、現地でしか得ることにできない景観情報を得ることができた。磐座関連として3ヶ所の神社・遺跡を踏査したが、これらに関しては20年度以降、光波測量器を用いて正確な測量調査を実施したい。また磐座周辺から出土した遺物も調査し、文献と祭祀遺跡、神社との関わりの中で位置づけていきたい。
 錦田剛志共同研究員による講演は『出雲国風土記』から祭祀の場を読み解き、自然を対象とするいわゆる「野辺の祭場」と、建造物、施設を伴う祭場の二者があることを指摘された。これはまつりの多様さ、重層性を表しているとされ、この指摘は本プロジェクトで出雲地域における古代の祭祀遺跡の様相を把握するにあたって参考とすべき重要な視点である。
また今回で20回を数える山の考古学研究会大会の参加では、講演の聴講、遺跡の踏査に加え、全国の研究者と交流を持ち、意見交換を行うことができた。
 
文責: 新原佑典



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