公開講座「祭祀遺跡に見るモノと心」
2009年9月27日更新
1. 開催主旨
平成20(2008)年10月1日の伝統文化リサーチセンター資料館全面オープンを受けて、「祭祀遺跡に見るモノと心」グループの研究成果を広く一般に公開することを目的とする。
2. 日時
平成20(2008)年10月4日(土) 14時30分~16時
3. 場所
本学渋谷キャンパス学術メディアセンター棟1階常磐松ホール
4. 講師・司会
〈講師〉
杉山 林継 (センター長)
「出雲という空間」
加藤 里美 (本センター・講師)
「祭祀遺跡・遺物から古代出雲のまつりを考える」
〈司会〉
加藤 元康 (本センター・ポスドク研究員)
5. 概要
この公開講座は、10月1日の伝統文化リサーチセンター資料館全面オープンを受け、各研究グループがその研究成果を広く一般に公開することを目的として開催した。第1グループ「祭祀遺跡に見るモノと心」グループからは、センター長・研究代表者の杉山林継と講師の加藤里美が講演を行なった。
杉山林継「出雲という空間」
古代神話に彩られた「出雲」について、単なる律令制の一国としての出雲国に限定して考えては、本当の姿を見失う。「出雲」を九州、大和、古志など古代の西日本を包含する空間領域として捉えたとき、鏡や銅鐸、銅剣、銅矛などの青銅器、前方後円墳、前方後方墳などの古墳、神奈備山などの聖地、さらに記紀の記述が、一層の説得力を持つ。このような見方は、東アジア世界における列島の姿を、より鮮明にする。そして、「古代出雲」の中心としての島根県出雲地方を振り返ったとき、国譲り、杵築大社の意味も、おのずと明らかになっていくだろう。
加藤里美「祭祀遺跡・遺物から古代出雲のまつりを考える」
「まつりの道具」や「まつりの場」を考えるには、考古学をはじめとして神奈備や磐座・社など場の問題、岩に対する観念や女夫岩といった信仰の問題を、景観、伝承を手掛かりとして、民俗学の視点なども含めた総合的な研究が必要である。祭祀遺跡の検討から、出雲地域では古墳時代から奈良時代にかけて、まつりに関して中央からの影響を受けつつも取捨選択し、長い期間独自の地域性を維持してきたことが読み取れる。それらは時代を経るにつれて消滅していったが、現在もなおその一部は神社境内地に残り、信仰の対象となっているところも少なくない。そういった神社境内地に残る遺物と、『出雲国風土記』における記述や式内社との関係を明らかにすることで、古代出雲における「まつり」に迫ることができる。
6. 成果と課題
ある地域の祭祀研究を行なうに際して、他地域を含めた多くの考古資料に即し、通時的、また共時的位置づけを図ることでその地域の特性を抽出することを可能にする、という杉山の指摘は、特に祭祀に関しては、ひとつの地域のみで完結せず、生活圏を大きく超える範囲で共通した様相を見せることがあり、全体から個を見る視座は今後研究を進める上で重要なものである。一方、加藤が述べた出雲における祭祀の考察は、地域的文脈の中で祭祀を把握しようとするもので、いわば個から全体へと視点を高めていくものである。杉山の指摘と併せ、祭祀考古学の方法論構築をも目的とする当プロジェクトにあって示唆に富むものであった。
文責: 加藤元康・佐藤周平・新原佑典
このページに対するお問い合せ先: 研究開発推進機構事務課






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