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國學院大學
伝統文化リサーチセンター

平成20年度フォーラム「伊豆の神仏と國學院の考古学」

2009年4月10日更新

1. 開催主旨
 國學院大學の考古学研究室・考古学資料館では、伊豆半島および伊豆諸島の考古学的調査を長年に亘り行なってきた。今回のフォーラムでは、これらの本学考古学の成果を一堂に集め、本地域を拠点に研究活動を行なっている研究者の方々をお招きして、それらを総合的に検討することで、伊豆半島および伊豆諸島における國學院大學の研究視点を再確認し、本プロジェクトの研究活動の位置付けを図るために開催した。
 
2. 日時
平成20(2008)年10月25日(土) 12時30分~17時15分
 
3. 場所
本学渋谷キャンパス学術メディアセンター棟1階常磐松ホール
 
4. 発表者(発表順)
吉田 恵二 (教授)
中村 耕作 (リサーチアシスタント)
朝倉 一貴・中島 大輔 (本学大学院文学研究科史学専攻博士課程前期)
田中 大輔 (ポスドク研究員)
深澤 太郎 (助手)
内川 隆志 (准教授)
栗木  崇 (熱海市教育委員会、本センター・共同研究員)
外岡 龍二 (下田市史編纂委員会)
 
5. 概要
 
(1) 「列島における儀礼・祭祀の誕生と展開―モノから心―」 (吉田恵二)
 縄文時代から古代にかけての祭祀に関わる遺物を中心として、祭祀・儀礼の日本列島における誕生と展開についての概観を述べた。
 弥生時代の石包丁から古墳時代の鉄製鎌へ変化する背景として、新嘗祭のような祭祀が影響する可能性を指摘し、カミに捧げる稲穂は最も早く収穫したもので、これを繰り返すことで早稲のみに集約し、鉄製鎌での根刈りが可能になったと述べた。
 
(2) 「神道考古学の形成と伊豆の祭祀遺跡―大場磐雄の伊豆調査―」 (中村耕作)
 大場磐雄の「神道考古学」の形成過程を第1段階~第4段階に区分して説明するとともに、大場の伊豆における調査・研究の位置付けを行なっている。また神道考古学の方法論が現存の信仰から遡ることに重点が置かれている為に、祭祀・儀礼や歴史的背景などを考慮する場合には、改めて方法論を構築する必要があると指摘した。
 
(3) 「三宅村物見処遺跡の発掘調査概要」 (朝倉一貴〈発表者〉・中島大輔)
 國學院大學考古学研究室の三宅村物見処遺跡調査・研究についての概要報告を行なった。物見処遺跡からは出土遺物がほとんどなく、墨書礫の数も少ないが、中世から近世の積石遺構が8基確認され、そのうち4基が調査され、平面形や周溝がめぐるなどの構造的な類似性が述べられた。
 
(4) 「古墳時代における土器集積について」 (田中大輔)
 土器集積を全国的に集成し、類型化を行なう必要性を述べた。また神観念の形成・変革過程、古墳時代の地域性を検討する上で重要な情報をもたらすものであることから、列島内での土器集積の展開と消滅の過程を明らかにする必要性を指摘した。
(5) 「うみとやまのあひだ―伊豆の神々とランドスケープ」 (深澤太郎)
 中世の三宅島の信仰を反映したと考えられる『三宅記』を分析し、当時の三嶋神や景観の象徴性について導き出した。また三宅島や白濱神社・三嶋大社に関連する遺跡・祭祀遺跡について検討し、周辺景観と神格の変容について言及した。
 
(6) 「伊豆諸島の祭祀遺跡」 (内川隆志)
 國學院大學考古学資料館が行なってきた伊豆諸島での調査研究成果について報告し、それらの特色について検討した。
 伊豆諸島の祭祀遺跡では鏡を祭具として多用していることから、伊豆諸島の出土鏡と伝世鏡を集計し、年代別の傾向から12世紀と15世紀に画期が存在することを指摘した。
 
(7) 「走湯権現関連遺跡群について」 (栗木崇)
 熱海市の走湯山は、従来、信仰・流通の拠点であるとの指摘がなされているが、考古学的研究は十分に行なわれてこなかったことから、走湯権現に関する文献や説話の研究、走湯権現関連遺跡群の各遺跡の概要などを述べた。また中世の走湯山の空間構造について、文献や絵図、出土土器の比率データなどから検討した。
 
(8) 「南伊豆の祭祀遺跡」 (外岡龍二)
 南伊豆の古墳時代から奈良・平安時代の祭祀遺跡を概観し、とくに集落内祭祀が行なわれている日詰遺跡から検出された祭祀跡について、調査時の写真を示しながら、その詳細を述べた。また大場磐雄が指摘した大和葛城の鴨族と伊豆の加茂の地名とが関係するとの説を、木簡にみられる「鴨」などの記述から検討がなされた。
 
【討論】 
 各発表者より発表内容についての補足とともに、当地域の祭祀・儀礼についてのコメントを頂き、海洋交通や火山などが地域性に強く影響していることを確認した。また氏族の祭祀など、地域的な背景を加味した祭祀の分析の必要性が指摘された。
 
6. 成果と課題
 今回のフォーラムでは90名のご参加を頂き、盛況に開催することができた。また会場運営の都合から討論に十分な時間をかけることができなかったが、当地域における今までの國學院大學の考古学調査を総合的に扱い、公表することで國學院大學の考古学的な祭祀研究の特徴を明確にすることができた。
 討論で指摘された課題を含めて、今後も継続して、これらの成果を本センターの研究活動で補完・発展させる計画である。
 
文責: 阿部昭典・加藤元康





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