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國學院大學
人間開発学部

季刊 のびのび子育てエッセイ

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2016年7月28日更新


あなたのお子さんに席(ポジション)はありますか?

 「あなた班長、私ただの人」。これは数年前、荒れた中学校の生徒指導を頼まれた際、目に付いた学級新聞の見出しです。「私はただの人」。この言葉には、子どもたちが今日抱えている鬱積した心情が凝縮されている、と言えます。

 「この中に、成績が‘5’や‘4’も居るけど、俺は今日、成績‘3’以下のおまえ達のために来たのだぞ」。某中学校の創立記念祭に、私は往年のフォークソング歌手、はしだのりひこ氏を講演会講師として招聘しました。しかし、今の中学生にとっては無名の歌手。あいさつが終わっても、ざわついていました。その雰囲気を一変したのが、彼の、この一言でした。

 私の自己イメージ調査では、成績‘3’、すなわち「普通の子」が、学校での自分の位置づけを、「その他」「お客さん」「おまけ」「付録」と否定的に自己認識している、という実態が明らかになりました。数値的にも一番自己否定的だったのは、‘2’や‘1’の成績の生徒ではなく、‘3’の生徒だったのです。

 それ故に、平成20年度(今次)学習指導要領の作成作業では、その基底に2つのキーワードを置きました。「自分への自信の喪失」、「閉じた個」です。今日の子どもたちは、自分はダメな人間、将来性などな無い「損在」状態だと、冷めた思いで生活しているということです。

 では、どうすれば子どもたちに、自分は大切な掛け替えのない人間なのだ、という「尊在感」を持ってもらうようになるのでしょうか。 

 その点については、教育界には「不易」の言葉があります。その一つが、「場(持ち場)を得て、子どもは光る(輝く)」という言葉です。

 そこで、冒頭の中学校では、1年かけて以下のことを採り入れてもらいました。

​1.係活動の「一人一役(多役)、輪番制」
2.各学級で「おいで、入れて、ありがとう、ごめんね、良かったね」など、言葉を決めて1日1回を目標に頑張る「合い(愛)言葉運動」
3.教師が昼休み、一人でピッチャーになり、全生徒を打者にして一人一人に話しかける、又は、ひとりぼっちの「気になる子」への支持的な呼びかけ運動などの「渦巻き型」学級経営
4.当番活動型の生徒会活動(サセラレル生徒会)から、生徒自ら取り組む「物を創ることで鍛える」文化創造型生徒会活動(自らスル生徒会)への移行、などです。

​ こうして、子どもたちは連帯(学級や学校)の中で自分の持ち場を得て、自らを輝かせる「尊在」を獲得することができたのです。これらは、家庭教育でもヒントになります。

​ 「あなたのお子さんに席はありますか?」。ここで、「席」とは、出番(ポジション)です。家族の中でのお子さんの「尊在」です。我が家では、5歳長男には「玄関大臣」、3歳長女には「いただきます係」でした。もちろん、挨拶交換も、一家団欒も、大切な子どもの「席」(場)づくりです。個食、孤食は止めたいですね。

2016年7月28日

通巻第43号
 
人間開発学部長
新富康央


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